歳を重ねる度に、自分にはできないこと、必要ないことが見えてくる。
あきらめることが増える。
でもそれは裏返せば、できることの輪郭がはっきりしてくるということだ。
少しだけ世界のフォーカスが合い、領分が明確になるということだ。
若いうちは判別がつかないから、魅かれるものを追い続けるばかりで、自分の姿形は溶けて流れてしまう。あやふやに、自由に。あいまいに、透明に。
たよりなく美しい。
そんな季節は過ぎてしまった。
足に合う靴を選んで、今までより少し濃い影を落として歩いてゆく。
さよなら。
固い大地を踏みしめるほどに遠ざかり見えなくなる。